どんなレベルでも果敢に挑戦できる! リストのおすすめピアノ曲8選
19世紀の悪名高き作曲家フランツ・リストの音楽の世界に飛び込んで、あなたのレパートリーに新曲を追加してみませんか?
Last updated on 25 Sept. 2024
フランツ・リストはよく、世界初のロックスターと言われます。リストのコンサートでは、女性らが彼に衣服を投げつけた、リストが触ったありとあらゆるもの(葉巻の吸い殻、ハンカチ、頭髪など)をめぐって取っ組み合いになった、などと伝えられています。リストは、19世紀の欧州作曲家の中でも特に精力的に活動し、数多くのピアノ曲を残しました。ハンガリー生まれということもあり、下でご紹介する曲を含めたリストの公式作品には、故郷のメロディーが頻繁に使用されています。彼は音楽分野における、いわば「オールラウンドな発明家」だったのです。さらにリストには、自身のスターとしての地位を大義のために生かし、演奏で得た収益を定期的に慈善活動に寄付していたというエピソードもあります。
リストに関するこうした知識がない人でも、彼の作品は耳にしたことがあるはず。ダイナミックでまさに巨匠、と言える彼の楽曲は、映画やテレビで頻繁に耳にします。日本では、リストの有名作「ラ・カンパネラ」を収録したフジコ・ヘミングの1999年のデビューアルバム「奇蹟(きせき)のカンパネラ」が、200万枚を超える売り上げを記録したことでご存知の方も多いかもしれません。完璧なラブストーリーのような美曲から、背筋が凍るような恐ろしい作品まで、多種多様なリストの作品からは誰もが何かを見つけられるはず。
flowkeyでは、アプリ上で今すぐ練習を始められるお気に入りを8曲選びました。曲は、初心者から上級者まで異なるレベルで用意されています。さらには、ピアノ史上極めて難曲とされる作品も——。
ピアノ版ラブソングの純粋な理想形があるとすれば、それは「愛の夢 第3番」でしょう。うっとりとした、美しくも心が痛むような調べは、バージンロードを歩く花嫁のために演奏したり、穏やかな夏の日の風にそっと乗せて流したりできる曲。リストは、フェルディナント・フライリヒラートの詩を基にこの曲を作曲しました。「おお、愛しうる限り愛せよ」という歌詞は、はかない人生を存分に生きなければと思わせてくれます。
flowkeyでは、「愛の夢 第3番」を初心者からプロまで複数のレベルで練習できます。うねるようなメロディーで、解釈・感情を込める余地がたっぷり用意されているこの作品、上級者は音色の表現が難しいと感じるでしょう。両手の協調性を高めるにはもってこいの曲ですが、初心者でも、休符やペダルの使い方によって作品の雰囲気が左右されることを学べます。さざなみのようなこの定番曲、ピアノを弾く人なら誰もが弾けるようにしておくべきです。
2. Hungarian Rhapsody No. 2(ハンガリー狂詩曲 第2番)
バッグス・バニー、トムとジェリー、そしてフランツ・リスト
生き生きとしたユーモアを誘うこの曲は、映画やテレビで超絶技巧やコメディー性を表現するため使われることが多い作品。アニメ『バッグス・バニー・ショー』や映画『ロジャー・ラビット』を見たことがある人なら、確実に聞いたことがあるはず。リストの子ども時代に由来する民族音楽の旋律を散りばめた跳ね回るような作品で、楽しいパーティーで流したり、公共スペースのピアノで演奏して通行人をびっくりさせたりするのにぴったりです。
この曲で特に面白いのは、テンポの変化。ゆったりとした行進のようなペースから驚くほど軽快な速さまで、ペースの急激な変化にはどのレベルの人も楽しく挑戦できるでしょう。様々な演奏者に適したこの曲なら、ピアノの力量にかかわらず誰もがどこか一節を練習することで、友達や赤の他人を驚かせるだけでなく、自分自身も感動させられるはず。
3. Nuages gris – 暗い雲
嵐を表現した実験的作品
「Nuages gris – 暗い雲」は、リストのクラシック音楽の名作の中でも「来る雷雨」を最もうまく表現した作品で、彼の最も陰気な面を表しています。当時としては極めて実験的なこの作品。どうも基準となる音や一定の旋律は存在しないようで、無調音楽と言えるでしょう。リストはこうして、20世紀の音楽を定義した特徴をひと足さきに採用したのです。
flowkeyでは、上級者向けの編曲をご用意。繰り返しがほとんどない構造で、左手・右手の両方でゆったりと間を持たせる練習ができます。メロディーよりも雰囲気に焦点を当てた作品を演奏してみるのが目的であれば、初心者が挑戦するのもありでしょう。
4. 5 Little Piano Pieces S.192 – Movements I, II, III, IV(5つのピアノ小品 S. 192 – 第1~4番)
短くて優しいピアノの時間
こちらは14年にわたり制作された作品で、各曲が真に組み合わされて一つの作品となったのは、リストの死後だいぶ時間がたった20世紀、作品が発表されたときのことでした。リストはこれら全曲を、友人女性に捧げています。クラシックピアノのジャンルで今もなお、とても感動的で思慮に富んだ小曲として受け継がれている作品です。世界中のピアノ「リサイタル」(実はリストが作った言葉です)でよく演奏されるため、ピアノをする人なら誰もがレパートリーとして持っておきたいもの。
1~4番は、どれも短時間で全体を弾けるので、ちょっとした「寄り道演奏」にぴったりです。タイトルは、アダージョ(ゆっくりと)、モデラート(適度なテンポで)、アンダンティーノ(少し早めに)とあり、演奏の方向性を示しています。リストの曲の醍醐味(だいごみ)をちょっぴり体験してみたい方は、まずはこの作品を練習してみるとよいでしょう。
5. Lento placido – Consolation No. 3 in D♭ Major(コンソレーション/慰め 第3番 変ニ長調 – レント・プラーチド)
ショパンの影響? 夢のようなアレンジ
ショパンのファンだったリストは、彼の作品から着想を得たのでしょう。ショパン死去前後に作曲された「慰め 第3番」では、彼の影響が特に明らかです。この作品は、ショパンの「Nocturne No. 2 in D♭, Op. 27(夜想曲 第8番 変ニ長調 作品27-2)」と冒頭部分が似通っています。 着想となったショパンの作品と同様「レント・プラーチド(ゆっくり落ち着いて)」で演奏することになっているこの曲は、夜を思わせる音楽です。
手の協調性を鍛えられ、リズムの練習もできる素敵な作品。ただそれも、この曲の夢のような魅力に惑わされず集中して練習できれば、の話ですが——。ペダルの練習にも適した作品なので、ソステヌートペダル付きのピアノをお持ちの方は、このペダルを使ってみることもできます。
6. ラ・カンパネラ
史上指折りの(それでいて弾きがいのある)難曲
ピアノの演奏スキルを思う存分披露したい(あるいは極限まで自分にチャレンジしたい)人には、これ以上の作品はありません。ピアノ曲の中でも特に難曲と広く考えられている「ラ・カンパネラ」は、指の超絶技巧と両手を独立させて動かす能力が強く求められます。メロディーは、ニコロ・パガニーニの「バイオリン協奏曲 第2番 ロ短調 作品7」の楽章から取られたもので、この曲に強く感銘を受けたリストがピアノ曲に編曲しました。曲名は「小さな鐘」の意味で、作品のルーツとなったイタリア民族音楽を示しています。
flowkeyでは、短めかつ少し簡略化したバージョンをご用意していますが、それでも練習中は指を遠くまで飛び回らせ、腕を交差したり、さらには手をほぼ重ねた状態で弾いたりすることになります。この簡易版でも、充実感はひとしおです。ピアノを始めたばかりの人は、さらに簡略化された中級者レベルから始め、その後上級者版へと進むことができます。
7. Funérailles(葬送)
革命へのレクイエム(鎮魂曲)
リストは、1848年のハンガリー革命の失敗に呼応して、暗く不協和音に満ちた、それでいて間違いなく情熱的なこの曲を書き上げました。ハンガリー独立の夢は、民主主義的改革の成立後、最終的にオーストリア帝国によって打ち砕かれ、リストの友人や知り合いは何人も殺害、あるいは国外追放の憂き目に遭います。ハンガリーの独立は第一次世界大戦終結まで実現せず、悲しいことにリストの存命中に祖国が解放されることはありませんでした。
陰鬱(いんうつ)で後悔に満ち、時には怒りを含んだこの曲のトーンを維持するため、この作品は非常に勇敢かつ深い感情を込めて演奏すべきです。悲しみや後悔を抱える時期にぴったりで、変革をもたらす音楽の力を思い出させてくれる重要なこの曲。「葬送」は、ポジティブなものに限らずあらゆる感情を表現し、処理する手助けをしてくれる作品の一つと言えます。
8. Dance of the Dead(死の舞踏)
死を警告する音楽
この強力かつ恐怖さえ感じさせる作品は、死はいつの日か誰もが経験するもの、ということを思い出させてくれる警告です。この手の芸術作品は、恐ろしく惨めなものではなく、むしろ自分に忠実に、そして充実した人生を送ることを改めて教えてくれます。人生は一度きり。楽しく生きた人生には、必ず音楽の力があることでしょう。
この曲の演奏は、皮肉抜きにして楽しめるはずです。鍵盤をほぼ端から端まで滑らせる部分(グリッサンド)がいくつかあり、大体は指の裏側または横側を使って演奏します。左手は時を刻む時計のようなメロディーで、右手は目覚まし時計のように響くので、時の果てしない行進を思わせ、その演奏も楽しいところ。ハロウィーンにぴったりの曲ですが、演奏を通し、過去の生死を巡る現実について少し思いを馳せてみたいときに演奏するとよいでしょう。
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flowkeyでは、次に何を演奏しようかと迷う必要はありません。アプリのライブラリには様々なジャンルやレベルの曲が豊富に用意されていて、どんなレベルの人も好きな曲を練習し、次のお気に入りを見つけることができます。
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