【初心者向け】ピアノ上達ガイド
第8章
楽譜の読み方をマスター
【初心者向け】ピアノ上達ガイド楽譜に書かれていること。それは、どの音を弾くか(音符)、いつ弾くか(タイミング)、どのように弾くか(強弱)です。この章では、第5章でご紹介した基本的な楽譜の読み方より、さらに踏み入った譜読みの方法を解説します。楽譜とは何か、音符を読めると何が分かるのか、一緒に学んでいきましょう。
この章は、ピアノ教室やオンラインチュートリアル、アプリでの学習に代わるものではありませんし、すでに習っている内容と重なる部分が多いかもしれません。楽譜の記号を確認したい際に、見返してみてください。
音符(どの音を弾くか)
シャープとフラット
ここからはいよいよ黒鍵が登場です。黒鍵を弾くには、これまで習ってきた「ド〜シ」の音符にシャープ、またはフラットをつけます。音符にナチュラルがつくと、フラットまたはシャープの効果を打ち消します。
- シャープ(♯)がつくと、その音符の一つ上の音を弾きます
例)「ド♯」は、ドの右隣の黒鍵 - フラット(♭)がつくと、その音符の一つ下の音を弾きます
例)「シ♭」は、シの左隣の黒鍵 - ナチュラル(♮)がつくと、上記の変化記号の効果が消えます。
例)「レ♮」は、そのままレの白鍵
調号と音階
楽譜の頭にシャープやフラットがつくと、その曲全体で音が半音上がるか下がるかします。この五線の最初に置かれる記号のセットを「調号」と呼びます。
ド(和名:ハ)から始まり、白鍵のみで演奏する音階は「ハ長調」。これは数ある音階のうちのたった一つにすぎません。楽譜の頭でシにフラットがつくと、曲全体でシをシ♭で弾き、ファ(和名:ヘ)から始まるへ長調となります。また、ドとファにシャープがつくと、レ(和名:ニ)から始まるニ長調となります。
音楽理論を深く学ぶつもりでなければ、今のところは、どの音階でどの変化記号がつくのかを覚える必要はありません。変化記号はいつも楽譜の初めに明記されているからです。楽譜の最初から最後までフラットかシャープである音符は、五線譜の頭の音部記号の横に、♭または♯で示されています。
変化記号とナチュラル
楽譜の頭だけではなく、楽譜の途中にもシャープやフラットが登場します。音符にこれらの変化記号がつくと、その効果は小節が終わるまで(小節線まで)続きます(詳しくは以下の「音符、休符、拍子」を参照)。つまり、小節の一番初めのシの音に♭がつくと、小節内の残りのシも全てシ♭になります。次の小節に入ると、シはまた白鍵に戻ります。
ナチュラル(♮)の効果も同じです。音符に♮がつくと、楽譜の頭についているシャープやフラットを無視して、白鍵を弾きます。これも変化記号の一つなので、効果は1小節だけ続きます。
ヘ音記号
ここまでは、2つの五線譜のうち、高音部のト音記号に焦点を当ててきました。これはミドルCより上の音であり、一般的には右手で演奏します。これから紹介するヘ音記号の五線譜には、ミドルCより下の音が登場し、多くは左手で演奏します。
ト音記号と同様、毎回ミドルCから順番に数えなくてもいいように、ある程度音符の位置を覚えておきましょう。
- 英語圏の読み方では、それぞれの間にある音の名前を「ACEG」、「All Cows Eat Grass」または「All Cars Eat Gas」と覚えることができます。
- 同じように、5本の線の上にある音の名前は「GBDFA」です。「Good Boys Do Fine Always」や「Good Burritos Don't Fall Apart」という語呂合わせで覚えることができます。
- ヘ音記号の二つの点の間に来る音符は「ファ」
タイミング(いつ弾くか)
五線譜は、細い縦線で「小節」に区切られています。各小節内では、様々な種類の音符を使って、音を弾く長さを表しています。全音符は最も長く、一小節分の長さになります。この全音符をどんどん分けていくと、他の音符になります。全音符の半分の長さは二分音符、4分の1の長さは四分音符、8分の1の長さは八分音符...などです。
八分音符より短い音には、音符の棒に「旗」がつきます。八分音符には1本、十六分音符には2本の旗がつきます。旗のついた音符を連続して弾く時には、楽譜を見やすくするため、このように旗をつなげて書かれます。
休符
何も弾かない事を表す記号を、休符といいます。音符と同じように、全休符、二分休符、四分休符、八分休符があり、それぞれ音符と同じ長さの休みになり、下記のような記号で書かれます。音符の旗の数と同じだけ、ヒゲのようなマークがつきます(八分休符には1つ、十六分休符には2つ)
拍子記号
五線譜の頭には、2つの数字が並んでいます。下の数字は1拍の長さを、上の数字は1小節あたりの拍子数を表します。一番よく使われるのは4分の4拍子(または「C」と書かれます)、1小節に四分音符が4拍です。同じように、4分の3拍子は1小節に四分音符が3拍、8分の6拍子は1小節に八分音符が6拍となります。
拍子の感覚を知るには、実際に弾いてみるのが一番です。例えば、「白鳥の湖 / Swan Lake(4分の4拍子)」と「エリーゼのために / Für Elise(4分の3拍子)」を弾き比べてみましょう。(どちらもflowkeyの初心者向け楽譜でご利用いただけます)
付点音符とタイ
ある音符の1.5倍の長さの音を表すには、音符に点をつけます。これを「付点音符」と言います。今の音符に、その半分の長さを足します。例えば、二分音符に点がつくと「付点二分音符」になり、「二分音符+四分音符」の長さになります。また、連続する同じ音を「タイ」でつなげて長く延ばすこともできます。例えば、四分音符を3つタイでつなげると、四分音符3つ分の長さ、つまり、付点二分音符と同じ長さになります。
拍子を数える
音を弾くタイミングをはかるには、拍子を数えます。例えば、学校の音楽の先生は、演奏前に「1、2、3、4」と数字を数えますよね。このように、最初は自分で声に出して練習すると、慣れて来たら頭の中で数えられるようになります。最終的にはピアノを弾きながら自然と拍子の感覚が身につき、1小節の中にきちんと音符が収まるようになります。
まずは楽譜の頭にある拍子記号を見て、1拍がどの音符の長さになるのか、1小節の中に何拍あるかを考えましょう。そして、例えば4分の4拍子の場合は、「1、2、3、4」と数えます。1拍を半分に分けるには、カウントの間に「と」を加えて、「1と2と3と4と」のように数えます。特に旗のついた短い音符や、付点音符、タイなどが登場してややこしい場合には、この方法を試してみてください。
テンポ
演奏する速さを知るには、速度記号を確認しましょう。速度記号には伝統的にイタリア語が使われてきました。よく登場するのは、Lento(レント:遅く)、Moderato(モデラート:中くらいの速さで)、Allegro(アレグロ:速く)など。現代の曲では、楽譜に1分あたりの拍数(bpm = Beats Per Minute)が書かれていることもあります。例えば♩=120 の場合、四分音符が1分間に120拍分のスピードであることを意味します。
これ以外にも様々な速度記号があるので、詳しく知りたい方は調べてみてください。
テンポとリズムの解釈
速度記号は、厳密に考える必要はありません。おおよその速さの参考にはなりますが、それが絶対という訳ではないのです。特にピアノのように1人で演奏する楽器の場合、テンポを遅くしたり速くする事で、より表現力を高めることができるからです。このような自由な演奏を、イタリア語で「テンポ・ルバート(Tempo Rubato = 時間を盗む)」と言います。とはいえ、初心者のうちは安定したリズムで正しく演奏できるようになることを優先しましょう。それができて初めて、自分だけの解釈で演奏ができるのです。
強弱(どのように弾くか)
これまでの章では、ピアノの鍵盤を弾く時の音の強弱、ダイナミックレンジについてお話ししてきました。楽譜には、音の大きさが指示されている場合があります。「正しい」ボリュームというのはありませんので、自分の解釈で強弱を表現しましょう。
強弱記号には、イタリア語の単語の頭文字が使われています。p(Piano:ピアノ)は「弱く」、f(Forte:フォルテ)は「強く」を意味します。m(Mezzo:メゾ)がつくと「少し」の意味になり、例えばmp(メゾピアノ)は「少し弱く」、mf(メゾフォルテ)は「少し強く」となります。記号が増えるほど、その意味が強くなります。例えば、pp(ピアニッシモ)は「とても弱く」、ff(フォルテッシモ)は「とても強く」という意味です。
音符にアクセント(>)がつくと、その音をより強調して弾くことを意味します。「だんだん強く(クレッシェンド)」は<記号を伸ばしたような記号、反対に「だんだん弱く(デクレッシェンド)」は>記号を伸ばしたような記号で示されます。音の強弱にも、テンポと同じく厳密な基準はありません。演奏の手本を見たり、ピアノの先生の指導を参考にしながら、自分だけの表現を見つけましょう。
初見で譜読みをするには
子供が言語を身につける時、単語を何度も繰り返して意味を覚え、それを文章として理解できるようになり、最終的には、何も考えなくても文章全体の意味が理解できるようになりますよね。譜読みについても、これと全く同じです。
自分のレベルに合った曲を見つけて、楽譜だけで弾く練習をしてみましょう。最初は楽譜上の様々な記号に戸惑うかもしれませんが、一つ一つの意味を確認しながら弾いてみてください。一曲弾けるようになったら、別の曲に移りましょう。これを繰り返すことで、脳がだんだんと譜読みに慣れてきます。
楽譜を見ただけで頭の中でメロディーが聞こえてくるようになり、最終的には初めて見た楽譜でもすぐに演奏できるようになります(初見演奏)。
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