【初心者向け】ピアノ上達ガイド
第2章
ピアノを学ぶ方法
【初心者向け】ピアノ上達ガイドピアノを習う事を決めて、練習に使うピアノを選んだら(第1章 - 失敗しないピアノの選び方を参照)、次に決めるのはレッスン方法。ピアノのレッスンには様々な方法があり、自分に合ったピアノ学習法は人それぞれです。友達がオススメするピアノレッスン方法が、必ずしもあなたに向いているとは限りません。
まずはあなたのライフスタイルを考えてみましょう。忙しくて決まった時間にレッスンができない方。毎週教室に通わないと練習が続かないタイプ。子育てが忙しかったり、近くにピアノ教室が見つからない方、あるいはブルースやジャズなど、地元の先生が提供していないピアノスタイルを学びたい方もいますよね。予算も検討が必要です。
大きく分けて、ピアノを習う方法には3種類あります。ピアノ教室、動画レッスン、そしてアプリ学習です。ここでは、それぞれのメリット・デメリットと、どんな方に向いているのかをご案内して行きます。下記のポイントに注目してみましょう。
- コスト - 払える料金? 払うだけの価値はある?
- 専門知識 - 学びたいスタイルと技術を提供してくれるか?
- フレキシビリティ - 学びたい時間に学べる?
- レッスンのアプローチ - あなたの練習スタイルと合うか?
- 時間 - 移動時間? レッスン前後にかかる時間は?
私たちflowkeyは、ピアノ学習アプリを提供しています。自社のアプリに誇りを持っているので、アプリでの学習に少しかたよっているかもしれませんが…。できるだけバランスのとれた客観的な内容になるように心がけながら解説していきます。
ピアノ教室
ピアノ教室というと、写真のように生徒と先生が並んでピアノの前に座ってレッスンしている姿が思い浮かぶのではないでしょうか。多くのレッスンは一対一で行われ、先生からの細かいフィードバックを受けることができます。良い講師は生徒のモチベーションを維持し、様々な角度から問題点に取り組みます。このような一人一人に特化した学習は、ピアノ教室の最大の利点です。
一つ大きな欠点は、先生と生徒の相性によって、レッスンの効果に大きな差が出る点です。自分に合った先生を見つけるのに、時間と費用がかかることもあります。相性の合う先生であれば上達が早いですが、相性の合わない場合、最悪のケースにはピアノを弾きたいと思うモチベーションを失ってしまうことも。
コスト:経験豊富で教えるのが上手い先生の場合、比較的費用が高くなります。地域や教室によっても異なりますが、子供の場合は月額6000円〜、大人の場合は1レッスンあたり2,000円~2,500円程度が相場です。ですが、このコストに見合う価値はあるはずです。
専門知識:弾きたいピアノ曲を指導してくれるかどうかも、ピアノ教室選びの大事なポイント。ピアノ教室ではクラシックピアノを教えることが多いため、もしジャズピアノを弾きたいなら、専門のピアノ教室を探す必要があります。将来プロのピアニストを目指すなら、これまでにプロを輩出してきた実績のある先生に指導を受けるべきです。
フレキシビリティ:多くのピアノ教室では週に1回のレッスンを提供しています。決まったスケジュールでレッスンを受けることで、ピアノに向かって練習する習慣が身につきます。ただし、良い先生は密なスケジュールでレッスンを行なっているため、先生の予定に合わせる必要があります。大人向けのコースには、レッスン日の振り替えができるプランもありますので、教室選びの際には検討してみましょう。
レッスンのアプローチ:良い講師は、忍耐強く、明確な指示を与えながらレッスンを行います。演奏がよくなるよう正確なアドバイスを与え、難しい部分がうまく弾けるように指導し、生徒がピアノ奏者として成長できるよう、長期的な計画を組んでくれます。
ピアノレッスンで使われる教本にも、先生のカラーが出てきます。バイエル、バーナム、バスティン、ハノンといった教本が代表的ですが、良い先生は常に新しい練習法を取り入れています。
友人がオススメする先生を教えてもらうのも一つの方法ですが、友人のレッスンスタイルが必ずしも自分に合うとは限りません。年齢、熱意、ユーモア、その他数え切れないほどの要素が相性を決めます。複数の先生のレッスンを受けてみることで、自分に合った先生が見つかります。多くのピアノ教室では初回体験レッスンを無料で提供していますので、まずは試してしてみましょう。
時間:貴重なレッスン時間を無駄にしないよう、通える範囲内に教室があるかを考慮に入れましょう。出張レッスンをしてくれる教室もありますが、その場合は追加料金が発生する事が多いです。
動画レッスン
YouTubeでは、今やどんなジャンルでも動画レッスンを視聴することができます。もちろんピアノも例外ではありません。でも、レッスンのクオリティには大きな差があります。多くのレッスン内容はある程度弾ける人を対象としていますので、初心者の方は教室に通いながら補助的に使うのが良いでしょう。
コスト:ほとんどのレッスン動画は無料ですが、わかりやすい指導をしてくれる先生もいれば、素人が怪しいアドバイスをしているものまで、クオリティは様々。海外のビデオレッスンでは、有料ワークブックなどが提供される場合もあります。
専門知識:海外の物も含めると豊富なビデオチュートリアルがあるので、エド・シーランでもショスタコーヴィチでも、あらゆる演奏スタイルに対応したレッスン動画を簡単に見つけることができます。一人の先生の動画を見続けると、その人が動画で共有している以上のことを学ぶのが難しくなります。ですが、いろんなスタイルの人の動画を見て学ぶには、それぞれの先生のスタイルに慣れる必要があります。
フレキシビリティ:スマホ、タブレット、PCがあればいつでもどこでも練習できるので、空いた時間を使って練習できます。気に入った先生を見つけたら、その人のチャンネルのレッスン動画を、何度でも好きなだけ見ることができます。
レッスンのアプローチ:動画レッスンにはフィードバックがなく、常に一方通行の指導です。また、意外と大事なのは、自分のペースに合った動画レッスンを見つけること。例えば動画のペースが早すぎると、何度も一時停止や巻き戻しをする必要があるので、ピアノ練習のストレスの原因に。
フィードバックがないため、初心者のうちは、自分が正しく弾けているかどうかを見極めるのが難しく、悪いクセがついてしまうことも。研究によると、動画によるフィードバックなしでの学習は効率的ではないと言われています。先生に褒められないと、上達のモチベーションには繋がりにくいですよね。これが、動画レッスンだけでは上級レベルになかなか到達できない理由の一つです。
時間:レッスンの準備は、スマホ、タブレット、PCの電源を入れてリンクをクリックするだけ。どのチャンネルを参考にするかを決める前に、どれくらいの頻度で新しい動画が公開されるのかも確認しましょう。次の動画までに長い間が空くのはフラストレーションが溜まるものです。
アプリ学習
学びに大切なのは、目標を達成するための学習方法がきちんと設計されていること。インタラクティブな機能を備えたピアノ学習アプリは、YouTube動画の、一方通行でしか学べないという欠点を補ってくれます。
ピアノ学習には様々なオプションがありますが、最新のアプリでは動画レッスンと、弾いた音を感知するフィードバック機能を兼ね揃えるものもあります。アプリの中には学習をゲーム形式で楽しめるものもあれば、より細かく設計された練習アプローチを取るものもあります。一貫したフィードバックと、弾きたい曲を練習できることで、独学でもモチベーションを維持しながらピアノを練習することができます。
コスト:アプリには無料または有料のオプションがあります。多くのアプリでは無料お試し期間を設けているので、まずは自分に合うかどうかを試してみましょう。費用は年間約8000円〜16,000円程度。有料サブスクリプションに登録すると、アプリ内の様々なレッスン、曲、機能にアクセスでき、バリエーション豊かなレッスンを受けることができるようになります。
専門知識:アプリでは、動画チュートリアルのように、コード、読譜、演奏技術から音楽理論や即興演奏まで、様々なスタイルやテクニックを学ぶことができます。子供向けのピアノゲームアプリは簡単な楽曲が多く、年配のプレイヤーにアピールするニッチなアプリはクラシックの曲に限定されていることも。良いアプリは曲のレパートリーが定期的にアップデートされるので、自分の弾きたいスタイルを見つけたり、好きな曲を練習することが簡単にできます。
フレキシビリティ:ビデオチュートリアルと同じく、必要なのはスマホ、タブレット、またはPCだけ。いつでもどこでも好きな時間に練習できるので、忙しい方にもぴったり。
レッスンのアプローチ:マンツーマンのレッスンを完全に模倣することはできません。例えば弾くときの姿勢や、感情の込め方、ペダルの使い方といった細かい事を教えられるのは本物の先生だけ。
ですがアプリには、動画レッスンには無いフィードバック機能がついています。例えば弾いた音を検出し、正しい音を弾くまで先に進めない機能は、まるでピアノ教室のようです。また、全くの初心者でも、一から段階的に学べるレッスンメニューを持つアプリもあります。
ピアノ教室
動画レッスン
アプリ学習
ピアノ教室 | 動画レッスン | アプリ学習 | |
---|---|---|---|
コスト | 高い | 無料〜安い | 無料〜安い |
専門知識 | ジャンルに特化(クラシック、ジャズ、プロ養成 etc.) | 幅広いジャンル | 幅広いジャンル |
レッスンの アプローチ | 個人に合わせたレッスン(先生との相性による) | 動画レッスン、一方通行 | 動画レッスン、双方向、フィードバックあり |
時間 | 教室までの移動時間、待ち時間がかかる。 | すぐ始められる。コンテンツのアップロードを待つ場合も | すぐ始められる |
大人のピアノ vs 子供のピアノ
子供の頃にピアノを習っていて、大人になって再開した人は、昔学んだピアノ教室でのレッスンに強い思いを持っている方も少なくなりません。しかし研究によると、大人の学習(アンドラゴギー)と子供の学習(ペダゴギー)とは、全く質が異なると言われています。
子供の頃のピアノレッスンは、ほとんどがピアノの先生や親への依存型。特に習い始めの段階では、レッスンに通ったり、練習する動機はほぼ外部に依存していると言われます。例えばレッスンに行けばお菓子を買ってもらえる、練習をサボったらお小遣いを減らされる、など。
大人になると、自分の意思でピアノを継続できるようになります。さらにこれまでの人生経験から、どのような学習方法が自分に合っているのかが判断できるようになり、より自分が楽しいと思える、やりがいあるピアノ練習ができるようになります。
どんなアプローチでピアノを習っても、途中から方法を変えたり、いくつかのレッスン方法を組み合わせることもできます。例えばピアノ教室に通いながら、自宅ではアプリで自主練習というのも一つの手ですね。すぐにやり方を変えるのではなく、一つの方法でしばらく練習してみて、本当に自分に合っている練習方法を見つけてみてください。
このピアノガイドでは、ピアノの上達に必要なあらゆる知識をお届けします。ピアノが上手く弾けるようになるためには時間と忍耐が必要です。次の章では、ピアノに向かう正しい姿勢と指づかいについて詳しく学んでいきましょう。
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